リスクを知る
サブリースの罠
公開日
トラブルの多くがサブリース契約時の家賃保証内容の説明不備による誤認
30年一括借り上げは、手間がかからず空室のリスクもなく魅力的に感じますが、30年間家賃保証されると思い込んでいたら、賃料の減額請求をされたり、解約の申し入れをされてトラブルに発展することもあり得ます。
サブリース契約の仕組み
区分マンション投資の空室リスクを補う方法として区分マンション販売業者はサブリース契約をセットで販売しております。
聞いたことはあるけど実際サブリース契約とはどんな契約なのか理解していない方も多いと思います。
サブリース契約とはオーナーからサブリース業者(管理業者)が一括で借り上げて家賃をオーナーに支払います。
サブリース業者は借主を見つけて家賃収入を得ます。この時にオーナーに支払われる送金賃料は家賃全体の80%~90%程度が一般的です。仮に家賃70,000円の区分マンションをサブリース契約した場合に支払われるのは56,000円~63,000円です。
オーナーへはサブリース業者から毎月決まった金額が入金されます。
サブリース契約のメリット
サブリース業者にお任せで手間がかからない
サブリース業者が間に入りすべての業務を行ってくれるので、オーナーは入金を受けるだけです。非常に手間がかからない為、サブリース契約が増えた要因でもあります。
空室の心配がいらない
サブリース業者が一括して借り上げる為、常に満室状態なので入退去での空室率の心配はいりません。その反面、実際の入居状況が分からないので、稼働率を知る由もありません。
サブリース契約のリスク
収益が下がる
間にサブリース業者が入り10%~20%利益を抜いていますので収益性はおのずと低くなります。
家賃下落リスク
サブリースは家賃が下がらないことを約束された契約ではありません。数年経過した時に家賃減額を伝えられ、思っていた収入が出せないといったケースは珍しくありません。
契約解除リスク
サブリース契約は借地借家法で守られており、オーナーから一方的に解約することができません。
倒産リスク
サブリース会社が倒産した場合、サブリース会社に支払われたものの、オーナーへ未送金の賃料回収はオーナーが自分でサブリース会社へ請求することになります。しかし、ほとんどの場合、回収することができない状況となります。
サブリース契約で頻発するトラブル事例
トラブルの多くがサブリース契約時の家賃保証内容の説明不備による誤認が問題となっています。サブリース契約では多くの場合、30年一括借り上げなどの表現で、あたかも30年間変わらず家賃保証が続くと誤認させる表現を使って、オーナーと契約をしていることがあります。
ですが、サブリース契約の特性上、30年間支払い家賃の金額が変わらないことなどありえません。
家賃は築年数と共にだんだんと下落していくものです。家賃下落の説明や支払い家賃の見直しがある旨をきちんと伝えないだけでなく、サブリース契約を解除したいと申しいれたオーナーに対して、解約はできないと断られるケースがあります。
そもそもサブリース契約が解約できない理由とはなんなのでしょうか。正確には解約することはできるのですが、”解約条件が厳しいことが多い”というのが正解です。
サブリース契約は借地借家法という法律に基づく契約です。オーナーを貸主、サブリース業者を借主として結ばれる賃貸借契約になります。この契約を解除する場合、正当な理由がなければ貸主から借主に対して契約を一方的に解除することは法律で認められておりません。
少し角度を変えてみると分かりやすいかもしれません。普通の賃貸住宅を借りているAさんがいて、いきなりオーナーから『契約を解除したいから出ていけ』と言われることと同じになります。Aさんはオーナーに正当な理由がなければ、この解約要求を呑む必要も解除する必要もありません。オーナーからの一方的な解除要求は認められていません。
サブリース契約において、マンション所有者であるオーナーは貸主になります。サブリース業者は借主になります。オーナーからの一方的な解除の申し出だけでは、契約を解除が解除できない原因がここになります。
また、契約書の中にサブリース契約を解除する場合、”解約違約金を請求する”という文言が記載されている場合があります。この金額が高額な金額に設定されており、解約は応じてくれるが高額な金額を払わないとサブリース契約を解除できない場合もあります。
またサブリース契約は入居者側でのトラブルも多く消費者庁が注意喚起をしています。
消費者庁ホームページhttps://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011/
サブリース契約はトラブルが絶えず発生している契約形態です。本当に良い物件であれば、サブリース契約などしなくても入居者はすぐに埋まり、オーナーに入るはずだった家賃はそのまま収益として支払われます。
世の中にはサブリース契約など結ばなくても問題がない物件がたくさんあります。サブリース業者の話に惑わされずにご自身で判断することが大事です。
サブリース契約を取り交わす際は、隅々まで契約書を確認してどんな条件で解約できるのかを入念に確認してください。そしてサブリースを付けないと不安な物件であれば購入を見直した方が良いと思います。
サブリース契約は入り口は広く、出口は狭い非常にトラブルが多い契約だということをしっかりと認識することが大切です。